材料と労務費は、なぜ月初と月末の貸借が逆になるのか。
結論からいうと、
月末において材料は費用の戻し、労務費は費用の見越し計上するという、計上が違うため貸借が逆になります。
そして月初は月末の振替になります。
そのため、月初、月末において逆になります。
それでは、例をもとに検証していきたいと思います。
材料
出庫方法は先入先出法とします。
今月4月1日から会社を設立しました。
4月10日 仕入
1個@50を10個仕入。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
材料① (費用) | 500② | 買掛金 | 500 |
①購入した材料を費用として計上します。
②@50×10個
ボックス
購入分(10個)
月末 4月30日
月末在庫
材料10個のうち、3個が使われず残った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
原材料① (資産) | 150② | 材料③ (費用) | 150② |
①残ったものは資産として計上します。
②@50×3個
③残ったものは購入時に費用としているので戻します。
ボックス
原材料 在庫
当月消費量
当月消費量は、購入量から月末在庫を差引いた金額となります。
350=500(購入量)-150(月末在庫)
月初 5月1日
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
材料 (費用) | 150 | 原材料 (資産) | 150 |
前月では、原材料という資産が3個(150)あります。
当月では、この原材料を使うため、費用に振替えます。
そのため、費用を計上し、資産を減少させます。
ボックス
材料
仕入 5月10日
1個@60を10個仕入。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
材料① (費用) | 600② | 買掛金 | 600 |
①購入した材料を費用として計上します。
②@60×10個
ボックス
材料 月初(3個)+購入分(10個)
月末 5月31日
月末在庫
5個が使われず残った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
原材料① (資産) | 300② | 材料③ (費用) | 300② |
①残ったものは資産として計上します。
②@60×5個
③残ったものは購入時に費用としているので戻します。
ボックス
原材料 在庫
当月消費量
当月消費量は、購入量から月末在庫を差引いた金額となります。
450=150(月初)+600(購入量)-300(月末在庫)
労務費
それでは、労務費を仕訳で見ていきます。
今月4月1日から会社を設立。
一人を雇い、直接労務費の給与のみ発生。
給与の締めは20日締めで25日支払い。
20日給与支給額計上 4月25日
日給は1日1,000
支給範囲は4月1日~4月20日です。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
賃金 | 20,000① | 現金 | 20,000 |
①@1,000×20日
ボックス
月末
当月未払賃金
月次決算は4月1日~4月30日の1ヶ月分を報告しなければなりません。
4月21日~4月30日の賃金はまだ払っていませんが、未払の労務費として費用計上する必要があります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
賃金 | 10,000 | 未払賃金 | 10,000 |
①@1,000×10日
ボックス
当月消費額振替
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕掛品 | 30,000① | 労務費 | 30,000 |
①20,000(当月支給)+10,000(当月未払額)
ボックス
5月1日 月初
前月計上した未払賃金を逆仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未払賃金 | 10,000 | 賃金 | 10,000 |
ボックス
20日給与支給額計上 5月25日
日給は1日1,000
支給範囲は4月21日~5月20日。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
賃金 | 30,000① | 現金 | 30,000 |
①@1,000×30日
ボックス
月末
当月未払賃金
4月と同様
5月21日~5月31日分を未払労務費として費用計上します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
賃金 | 11,000 | 未払賃金 | 11,000 |
①@1,000×11日
ボックス
当月消費額振替
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仕掛品 | 31,000① | 労務費 | 31,000 |
①30,000(当月支給)+11,000(当月未払額)-10,000(前月未払額)
ボックス
まとめ
月末
材料
材料の月末は、使わなかった材料はすでに費用化していることから、資産に振替えるため貸方にきます。
労務費
労務費の月末は、労務費は月末まで発生するが、締めの関係上払っていない分は計上していないので、月末で費用計上します。そのため、借方に来ます。
月初
材料
材料の月初は、前月末に資産計上したものを費用化するために借方にきます。
労務費
労務費の月初は、前月末に見越し計上した分を戻すので貸方にきます。
まとめ
つまり、月末において材料は費用の戻し、労務費は費用の見越し計上するという、計上方法が違うわけです。月初は月末の振替になります。
そのため、月初、月末において逆になります。
コメント