標準原価計算における、直接材料費差異は、
標準直接材料費と実際直接材料費との差額になります。
この直接材料費差異は、価格差異と、数量差異に分類できます。
はじめに
材料価格差異
材料価格差異は、原価計算基準で次のように記述されています。
直接材料の標準消費価格と実際消費価格との差異に、実際消費数量を乗じて算定する。
計算式で表すと価格差異は、
(標準単価-実際単価)×実際消費量
となります。
材料数量差異
そして材料数量差異は、原価計算基準で次のように記述されています。
直接材料の標準消費数量と実際消費数量との差異に、標準消費価格を乗じて算定する。
数式で表すと数量差異は、
(標準消費量-実際消費量)×標準単価
となります。
しかしなぜ、価格差異は差異に実際(消費量)を乗じるのに対し、
数量差異は差異に標準(単価)を乗じるのか。
この疑問を見ていきます。
直接材料費差異
直接材料費差異は、上記の2つの差異だけでなくもう1つ存在します。
それは、価格、数量の混合で発生する、混合差異があります。
すなわち、
直接材料費差異の内訳
・価格差異
・数量差異
・混合差異
となります。
管理可能・不可能
発生した差異には、管理可能のものと不可能のものがあります。
数量差異は、管理可能なものです。企業内部の要因によって発生することが多いです。
例えば、予定で年間材料100使うとしたが、実際は年間90使ったとしたら、社内でより生産性を高めるなど管理が可能です。
一方、価格差異は、管理不可能なものです。企業外部の要因によって発生することが多いです。
例えば、予定として単価90で仕入としたが、実際は高騰し、1個あたり100で仕入れることになった場合には、予測不可能なものであり、管理が不可能なものです。
そのため、混合差異は、どちらかに含めた方がよいかとなると、管理不可能な価格差異に含めることとなります。
価格差異=(標準単価-実際単価)×標準消費量+混合差異
=(標準単価-実際単価)×実際消費量
数量差異=(標準消費量-実際消費量)×標準単価
となります。
例
最後に例をみていきます。
総差異=標準直接材料費-実際直接材料費
8,100①-10,000②=△1,900
①90(標準単価)×90(標準消費量)=8,100
②100(実際単価)×100(実際消費量)=10,000
数量差異=(標準消費量-実際消費量)×標準単価
(90-100)×90=△900
価格差異=(標準単価-実際単価)×実際消費量
=(90-100)×100=△1,000
となります。
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