材料価格差異・数量差異(標準原価)



標準原価計算における、直接材料費差異は、
標準直接材料費と実際直接材料費との差額になります。

直接材料費差異=標準直接材料費ー実際直接材料費

この直接材料費差異は、価格差異と、数量差異に分類できます。



はじめに

材料価格差異

材料価格差異は、原価計算基準で次のように記述されています。

価格差異とは、材料の標準消費価格と実際消費価格との差異に基づく直接材料費差異をいい、
直接材料の標準消費価格と実際消費価格との差異に、実際消費数量を乗じて算定する。

原価計算基準 第4章原価差異の算定および分析 46(二)1

計算式で表すと価格差異は、
(標準単価-実際単価)×実際消費量 
となります。



材料数量差異

そして材料数量差異は、原価計算基準で次のように記述されています。

数量差異とは、材料の標準消費数量と実際消費数量との差異に基づく直接材料費差異をいい、
直接材料の標準消費数量と実際消費数量との差異に、標準消費価格を乗じて算定する。

原価計算基準 第4章原価差異の算定および分析 46(二)2

数式で表すと数量差異は、
(標準消費量-実際消費量)×標準単価
となります。

しかしなぜ、価格差異は差異に実際(消費量)を乗じるのに対し、
数量差異は差異に標準(単価)を乗じるのか。
この疑問を見ていきます。



直接材料費差異

直接材料費差異は、上記の2つの差異だけでなくもう1つ存在します。
それは、価格、数量の混合で発生する、混合差異があります。
すなわち、
直接材料費差異の内訳
・価格差異
・数量差異
・混合差異
となります。
図1



管理可能・不可能

発生した差異には、管理可能のものと不可能のものがあります。
数量差異は、管理可能なものです。企業内部の要因によって発生することが多いです。
例えば、予定で年間材料100使うとしたが、実際は年間90使ったとしたら、社内でより生産性を高めるなど管理が可能です。

一方、価格差異は、管理不可能なものです。企業外部の要因によって発生することが多いです。
例えば、予定として単価90で仕入としたが、実際は高騰し、1個あたり100で仕入れることになった場合には、予測不可能なものであり、管理が不可能なものです。

そのため、混合差異は、どちらかに含めた方がよいかとなると、管理不可能な価格差異に含めることとなります。

価格差異=(標準単価-実際単価)×標準消費量+混合差異
    =(標準単価-実際単価)×実際消費量
数量差異=(標準消費量-実際消費量)×標準単価
となります。
図2 価格差異



最後に例をみていきます。
図3 例

総差異=標準直接材料費-実際直接材料費
8,100①-10,000②=△1,900
①90(標準単価)×90(標準消費量)=8,100
②100(実際単価)×100(実際消費量)=10,000

数量差異=(標準消費量-実際消費量)×標準単価
(90-100)×90=△900
価格差異=(標準単価-実際単価)×実際消費量
=(90-100)×100=△1,000

となります。

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