原価の固変分解


高低点法

高低点法は、過去の実際データをもとに、費目の最高の業務量と最低の業務量の2点のデータから、原価の推移を直線とみなす方法です。
10高低法 表

注意したいのは、発生した金額の高点と低点ではなく、業務量(作業時間等)の高点と低点であることです。
11高低法 表 注意

それでは実際に例題で変動費、固定費の計算方法を見ていきます。



変動費率

最大の業務量時の金額-最小の業務量時の金額
   最大の業務量-最小の業務量

    直接作業時間  材料費
1月  5時間      140
2月  7時間      130
3月  10時間     200
4月  13時間     270
5月  15時間     260

260-140   = 120 =12円/時
15時間-5時間    10時間

結果、変動費率は12となりました。



固定費

固定費は最大の業務量時と最小の業務量時のどちらでも求めることができます。

最大の業務量の場合
最大の業務量時の金額-変動費率×最大の業務量

もしくは

最小の業務量の場合
最小の業務量時の金額-変動費率×最小の業務量

それでは最大の業務量の場合で求めてみます。

260(最大の業務量時の金額)-12円/時(変動率)×15(時間。最大の業務量)=80
結果、固定費は80となりました。

最小自乗法

最小自乗法は
・∑Y=a∑X+nb 
・∑XY=a∑X2+b∑X

の連立方程式で求めます。
それでは、まず、元となるY=aX+bから見ていきます。



Y=aX+b

原価発生額は
原価発生額=変動費×業務量+固定費
で表すことができます。
これを
a 変動費
b 固定費
X 業務量
Y 原価発生額
とすると
Y=aX+b
となります。
この元となるY=aX+bをもとに最初の連立方程式∑Y=a∑X+nb 
を見ていきます。



∑Y=a∑X+nb

高低法では、高い業務量と低い業務量の2点のデータで求めました。
最小自乗法は、すべてのデータを基に計算するので各項目を合計するので、
原価発生額合計=変動費×業務量合計+サンプル数×固定費
で表すことができます。
これを
a 変動費
b 固定費
X 業務量
Y 原価発生額
∑ 合計
n サンプル数

とすると
∑Y=a∑X+∑b
となります。
20最小自乗法 公式1

固定費は∑bとnbの2つで表せる
ここで、固定費の部分は、
・bの合計額→∑b
・n(サンプル個数)にbをかけた額→nb
の2つで表すことができます。
なので
∑Y=a∑X+∑bの∑bを置き換えて
∑Y=a∑X+nb
とすることができます。



∑XY=a∑X2+b∑X

もう一つ、∑XY=a∑X2+b∑Xをみていきます。
さきほど、Y=aX+bに各項目を合計すると∑Y=a∑X+∑bとなりました。
この公式に各項目にXをかけても計算結果はかわりませんので、あてはめていきます。
X(∑Y)=X(a∑X+∑b)
→∑XY=a∑X2+b∑X
となり2つ目の連立方程式となりました。

計算

それでは、連立方程式の仕組みがわかったところで計算を行っていきます。

資料

    直接作業時間  補助材料費
1月  5時間      140
2月  7時間      130
3月  10時間     200
4月  13時間     270
5月  15時間     260
合計  50時間     1,000



資料の追加

作業時間をX、材料費をYとし、XY、X2の表を追加作成します。

    X       Y    XY  X2
1月  5時間     140   700   25
2月  7時間     130   910   49
3月  10時間    200   2,000   100
4月  13時間    270   3,510   169
5月  15時間    260   3,900   225
合計  50時間    1,000  11,020  568



変動費算定

できたところで、公式にあてはめていきます。
①∑Y=a∑X+nb 
②∑XY=a∑X2+b∑X

公式にあてはめると
①1,000=50a+5b
②11,020=568a+50b
となります。

①からbを求めます
5b=1,000-50a
5でわると
→b=200-10a
のようになります

①で求めたbを②にあてはめもとめていきます
11,020=568a+50×(200-10a)
→11,020=568a+10,000-500a
→11,020-10,000=568a-500a
→1,020=68a
a=15
結果、aである変動費が15となりました。



固定費

aがでたので①1,000=50a+5bにあてはめます。
1,000=50×15+5b
→1,000=750+5b
→250=5b
b=50
結果、bである固定費が50となりました。

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