原価の部門別計算とは
費目別計算において把握された原価要素を、原価部門別に分類集計する手続をいい、原価計算における第二次の計算段階である。
前提条件
1次集計(部門共通費配賦)
部門共通費である建物減価償却費700を専有面積で各部門に配賦します。
共通費総額 ×配賦基準
配賦基準総額
切削部門:200=700 ×200
700
組立部門:200=700 ×200
700
動力部門:100=700 ×100
700
修繕部門:100=700 ×100
700
事務部門:100=700 ×100
700
2次集計(補助部門配賦)
次に補助部門の配賦を行います。
配賦方法として
・直接配賦法
・相互配賦法(簡便法)
・相互配賦法(連立方程式法)
・階梯式配賦法
があります。
それでは、直接配賦法から見ていきます。
直接配賦法
補助部門費を製造部門にのみ配賦する方法。
配賦金額 ×配賦基準
配賦基準総額
動力部門
切削部門:416=832 ×200
400
組立部門:416=832 ×200
400
修繕部門
切削部門:222=400×50
90
組立部門:178=400 ×40
90
事務部門
切削部門:100 =200×30
60
組立部門:100=200 ×30
60
相互配賦法(簡易)
1次配賦では、製造部門、補助部門に配賦し、2次配賦では、製造部門のみ配賦を行う方法。
1次配賦
配賦金額 ×配賦基準
配賦基準総額
1次配賦
動力部門
切削部門:333=832 ×200
500
組立部門:333=832 ×200
500
修繕部門:116=832 ×100
500
修繕部門
切削部門:200=400 ×50
100
組立部門:160=400 ×40
100
修繕部門:40=400 ×10
100
事務部門
切削部門:60=200 ×50
100
組立部門:60=200 ×40
100
動力部門:40=200 ×10
100
修繕部門:40=200 ×10
100
第2次配賦
動力部門
切削部門:40=80 ×200
400
組立部門:40=80 ×200
400
修繕部門
切削部門:115=206 ×50
100
組立部門:92=206 ×40
100
相互配賦法(連立方程式法)
配賦
各部門費を1とし、割合に応じて配賦を行います。
連立方程式
配賦ができたら、縦を元に連立方程式で解いていきます。
上記から
A=832+0.1B+0.2C
B=400+0.2A+0.2C
C=200
Cを代入
A=832+0.1B+0.2×200
B=400+0.2A+0.2×200
↓
A=872+0.2B
B=440+0.2A
BをA式に代入
A=872+0.2×(440+0.2A)
A=872+88+0.04A
A-0.04A=960
0.96A=980
A=960÷0.96
A=1,000
階梯式配賦法
階梯式配賦法(かいていしきはいふほう)は、補助部門を順位付けし、配賦を行います。
順位付け
1.他部門への用役件数が多い補助部門が上位。
2.用役件数が同数の場合、第1集計費の多いほうを上位。
動力部門1件、修繕1件、事務部門2件なので、事務部門が1番に来ます。
事務部門配賦
事務部門を従業員数で配賦します。
切削部門:60=200(事務部門)×30(切削部門従業員)÷100(従業員合計)
組立部門:60=200(事務部門)×30(組立部門従業員)÷100(従業員合計)
修繕部門:40=200(事務部門)×20(修繕部門従業員)÷100(従業員合計)
動力部門:40=200(事務部門)×20(動力部門従業員)÷100(従業員合計)
動力部門配賦
動力部門:832+40=872
動力部門872を配賦します(小数点以下四捨五入)。
なお、上位部門である事務部門には配賦をしません。
切削部門:349=872(動力部門)×200(切削部門動力消費量)÷500(動力消費量合計)
組立部門:349=872(動力部門)×200(組立部門動力消費量)÷500(動力消費量合計)
修繕部門:174=872(動力部門)×100(修繕部門動力消費量)÷500(動力消費量合計)
修繕部門配賦<
修繕部門:400+40+174=614
修繕部門614を配賦します(小数点以下四捨五入)。
なお、上位部門である事務、動力部門には配賦をしません。
切削部門:341=614(修繕部門)×50(切削部門修繕作業時間)÷90(修繕作業時間合計)
組立部門:273=614(修繕部門)×40(組立部門修繕作業時間)÷90(修繕作業時間合計)
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