わかりやすく解説! 工業簿記

有利差異(貸方差異)・不利差異(借方差異)

 

はじめに

予定配賦金額と実際発生金額の差額で、有利差異(貸方差異)・不利差異(借方差異)
が発生します。
有利差異(貸方差異)とはなにか。
不利差異(借方差異)とはなにか。
わかりやすく解説していきたいと思います。

 

 

有利差異(貸方差異)

予定配賦額計上

予定配賦額は110。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 110  製造間接費 110

 

実際発生額計上

実際発生額は100

借方 金額 貸方 金額
製造間接費 100 買掛金 100

 


貸方に残高があるため貸方差異となります。

 

製造間接費配賦差異計上

製造間接費は、上記の予定配賦額の時にすでに仕掛品に配賦されているため、貸借差額は0になるはずです。
しかし借方に10不足しているため、製造間接費を計上します。
相手勘定は、製造間接費配賦差異を計上します。

借方 金額 貸方 金額
製造間接費 10 製造間接費配賦差異 10

 

これで貸借が合いました。

 

仕訳からの製造間接費の動き

仕訳でもう一度製造間接費を見てみましょう。

予定配賦額計上

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 110 製造間接費 110

製造間接費 △110

 

実際発生額計上

借方 金額 貸方 金額
製造間接費 100 買掛金 100

製造間接費 △110+100=△10
貸方に10あるので貸方差異

 

製造間接費配賦差異計上

借方 金額 貸方 金額
製造間接費 10 製造間接費配賦差異 10

製造間接費 △10+10=0

 

有利差異

費用勘定の製造間接費配賦差異が貸方にあります。
すなわち費用のマイナスなので、利益が増加することになり、差異は有利なものです。
このことから、有利差異となります。
損益計算書で見るとわかりやすいでしょう。
なお、製造間接費配賦差異は原価性があるものとします。

 

 

不利差異(借方差異)

予定配賦額計上

予定配賦額は90。

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 90  製造間接費 90

 

実際発生額計上

実際発生額は100

借方 金額 貸方 金額
製造間接費 100 買掛金 100

 


借方に残高があるので、借方差異となります。

 

製造間接費配賦差異計上

製造間接費は、上記の予定配賦額の時にすでに仕掛品に振り替えているため、貸借差額は0になるはずです。
しかし貸方に10不足しているため、製造間接費を計上します。
相手勘定は、製造間接費配賦差異を計上します。

借方 金額 貸方 金額
製造間接費配賦差異 10  製造間接費 10

 


これで貸借が一致しました。

 

仕訳からの製造間接費の動き

仕訳でもう一度見てみましょう。
予定配賦額計上

借方 金額 貸方 金額
仕掛品 90 製造間接費 90

製造間接費 △90

 

実際発生額計上

借方 金額 貸方 金額
製造間接費 100 買掛金 100

製造間接費 △90+100=+10
借方に10あるので、借方差異

 

製造間接費配賦差異計上

借方 金額 貸方 金額
製造間接費配賦差異 10 製造間接費 10

製造間接費+10-10=0

 

不利差異

費用勘定の製造間接費配賦差異が借方にあります。
すなわち費用なので、利益が減少するため、差異は不利なものとなります。
このことから、不利差異となります。
損益計算書で見ると下記となります。
なお、製造間接費配賦差異は原価性をあるものとします。

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