最適セールス・ミックスの記事では、制約が生産能力の1つだけありました。
今回は、制約が2つ以上の場合でいかに最大の利益を得ることができるかを見ていきます。
それには、リニアー・プログラミングを使っていきます。
資料
菓子A | 菓子B | |
1個あたり販売額 | 100 | 200 |
1個あたり変動費 | 50 | 120 |
1個あたり作業時間 | ||
スポンジ部門 | 0.5時間 | 1.5時間 |
デコレーション部門 | 2.5時間 | 1.5時間 |
需要限度 | 200個 | 100個 |
生産能力 | ||
スポンジ部門 | 150時間 | |
デコレーション部門 | 450時間 | |
固定費 | 10,000 |
制約条件
ここでは、制約条件が
・需要限度
・生産時間
の2つがあります。
まず、需要限度から見ていきます。
需要限度
需要限度は、お菓子Aは200個、お菓子Bは100個なので、
①お菓子A≦200
と
②お菓子B≦100
となります。
これをグラフ化します。
①お菓子A
お菓子Aは最大200個の時のお菓子Bの個数はわからないため、垂直に上へ線を引きます。
青色内が制約内となります。
②お菓子B
次に、お菓子Bです。
お菓子Bは最大100個の時のお菓子Aの個数はわからないため、平行に右へ線を引きます。
2つの線を引いた内側の青色の部分が、需要限度を満たす部分となります。
次に制約条件の生産時間を見ていきます。
部門生産時間
③スポンジ部門作業時間
お菓子Aの1個当たり時間は、0.5時間、
お菓子Bの1個当たり時間は、1.5時間、
スポンジ部門生産能力が150時間なので
0.5A+1.5B≦150
となります。
これを2つに分解します。
Aが0の時
0+1.5B≦150
→B≦100
となり、Bが100、Aが0の地点を点で落とします。
Bが0の時
0.5A+0≦150
→A≦300
となり、Aが300、Bが0の地点を点で落とします。
上記2つの点を結びます。
その結果が下記のようになりました。
④デコレーション部作業時間
お菓子Aの1個当たり時間は、2.5時間、
お菓子Bの1個当たり時間は、1.5時間、
デコレーション部門生産能力が450時間なので
2.5A+1.5B≦450
となります。
これを2つに分解します。
Aが0の時
0+1.5B≦450
→B≦300
となり、Bが300、Aが0の地点を点で落とします。
Bが0の時
2.5A+0≦450
→A≦180
となり、Aが180、Bが0の地点を点で落とします。
上記2つの点を結びます。
その結果が下記のようになりました。
すべての制約を満たした部分が青色の部分で、可能領域といいます。
この可能領域の中で最適セールス・ミックスを見ていきます。
最適セールス・ミックス
1個当たり貢献利益に個数をかけて最適セールス・ミックスを求めます。
最大の利益は、線上である、点a~点fのどれかになります。
点a
お菓子A (25×0個)+お菓子B(20×100個)=2,000
点b
お菓子A (25×60個)+お菓子B(20×80個)=3,100
点c
お菓子A (25×100個)+お菓子B(20×70個)=3,900
点d
お菓子A(25×150個)+お菓子B(20×50個)=4,750
点e
お菓子A (25×170個)+お菓子(20×20個)=4,650
点f
お菓子A(25×180個)+お菓子B(20×0個)=4,500
結果、点cが最大となり、
お菓子A:150個
お菓子B:50個
となりました。
点aから点dの線上をみていくと、右に向かうにつれて、利益が増えていき、点dで最大となりました。
点fから点dの線上を見ていくと、上に向かうにつれて、利益が増えていき、点dで最大となっていることがわかります。
この2つの線が交わる点dが最適セールス・ミックスとなります。
最適セールス・ミックスの座標の求め方
最適セールス・ミックスは、スポンジ生産部門と、デコレーション部門の線が交わった点になっています。
この座標を求めるには、
①0.5A+1.5B=150(スポンジ部門)
②2.5A+1.5B=450(デコレーション部門)
の連立方程式を求めます。
①のスポンジ部門をもとにAを求めます。
0.5A=150-1.5B
→A=300-3B
これを、②に代入します。
2.5(300-3B)+1.5B=450
→750-7.5B+1.5B=450
→-6B=-300
→B=50
となりました。
Bがでたので①に代入します。
0.5A+1.5×50=150
→0.5A=150-75
→0.5A=75
→A=150
となりました。
結果、最適セールス・ミックスは、お菓子Aが150個、お菓子Bが50個となり、上記と一致しました。
このように最適セールス・ミックスの座標は、連立方程式で求めることができます。
菓子A、菓子B、全体の営業利益
菓子A、Bを合算し、営業利益まで求めます。
なお、固定費は10,000です。
菓子A | 菓子B | 合計 | |
売上高 | 15,000 | 10,000 | 25,000 |
変動費 | 7,500 | 6,000 | 13,500 |
貢献利益 | 7,500 | 4,000 | 11,500 |
固定費 | 10,000 | ||
営業利益 | 1,500 |
売上高
お菓子A
100×150個=15,000
お菓子B
200×50個=10,000
変動費
お菓子A
50×150個=7,500
お菓子B
120×50個=6,000
貢献利益
お菓子A
15,000-7,500=7,500
お菓子B
10,000-6,000=4,000
最適セールス・ミックス
お菓子A:150個
お菓子B:50個
営業利益:1,500
となりました。